油圧パンタジャッキ・インパクトレンチに続いて、
これまた初めて導入してみたトルクレンチ。
ずっしりと重たいその工具でカチっと締めれば適正トルクで締まります。
正しい使い方のレビュー動画と、
トルクの合わせ方についてご覧ください。
目次でございます。
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1ホイールナットの締め付ける強さは決まっている
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2トルク・Nm(ニュートンメーター)ってなに?
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3日本車のトルクは3パターン
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4トルクレンチは精密機械
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5スプリングがトルクレンチの命
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6安物の購入に注意
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7欲を言えばデジタル式。
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83パターンを1本でまかなえる
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9プロオート製 3ポジショントルクレンチ
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10あった方が安全です!
手では規定トルクで締められない問題点。
手順03.おすすめインパクトレンチ編。選び方に迷ったらマキタのTW285D で、
タイヤを交換できたら、今度はナットの締め付けです。
ナットを緩めて、タイヤを交換。最後にナットで締め直すワケですが、
説明書には「 きつく締め過ぎないこと 」くらいしか書いておらずナットの締め付け力加減は、正直曖昧です。
片手レンチで締める場合と、
クロスレンチで締める場合、チカラの込め方が当然異なるので同じチカラで締めるのは難しい。
そもそも、メーカーによって大まかに締め付けトルク( 規定トルク )は定められています。
日本車だとほぼこの3パターンに集約できます。
トヨタやダイハツで多いのが103Nm( ヒャクサンニュートンメーター )
どのような力加減かと言いますと、ナットに1メートルのレンチを掛けて、10kgのチカラを掛けた時が103Nmのチカラ加減です。
ですが、片手レンチで103Nmで締めてくださいと言われても正直困っちゃう。数値に表せないと無理でしょう。
ただし、ちゃんと規定トルク内で締めないと大変なことに。
ホイールを外すと顔を覗かすこのハブボルト。
そもそもボルトは金属ですが、カッチカチなわけではありません。人間程度のチカラではビクともしないボルトですが、
ボルトにホイールを通して、ナットで締めるとものすごいチカラがボルトに掛かります。
その結果、力学的にボルトは伸びる。多少の伸びなら許容範囲、しかし締め過ぎた場合は伸びる負荷に耐え切れずボルトは折れます。ねじ切れます。ネジなだけに。
規定トルクで締めるということは、
ハブボルトの破損も防ぐ役目をもっているワケです。
日本車メーカーの規定トルク表
先ほど日本車の規定トルクは3つのパターンがあると説明しました。
- 108Nm
- 103Nm
- 85Nm
正確に言えば3つ以外にいくつか亜種が存在します。
ホンダのスーパーカーNSXだと170Nmだったり、SUVやスポーツカーはトルクが高い傾向。
また、規定トルクに幅を持たせているメーカーもあります。
最近のスバル車については120Nmとちょっと他とは異なります。
メーカー | 規定トルク ( N・m ) |
---|---|
トヨタ | 100Nm / 103 / 105 / 120 / 131 / 209 |
ダイハツ | 103Nm |
日産 | 108Nm / 88~118 / 132 |
ホンダ | 108Nm / 98~118 / 127 / 170 |
マツダ | 88~118Nm / 108~147 |
スバル | 80~100Nm / 103 / 120 |
三菱 | 88~108Nm |
スズキ | 85Nm / 100 / 108 |
で、注目なのはトルクの幅でしょう。
昔からメーカー問わず、110Nmで締めている人が結構回りにおりました。
「 なんでもかんでも110Nmで締めちゃって、どうなっても知らないよ 」と個人的に思っていましたが、
しかし調べてみるとナゾのトルクの幅。
メーカーはピッタリとした規定トルクを定めているが、ボルトの伸び縮みの都合上、表には出していない数値の幅があるらしい。
その幅すら公表しているのが日産・ホンダ・マツダ・スバル・三菱。
108Nmを147Nmの幅って、本当に良いのかしら?
よって、100Nmを110Nmで締めても何ら問題はないみたい・・・。
トルクレンチの仕組み
トルクレンチがどのようにして規定トルクを判断しているか。
トルクレンチにはスプリングが内蔵されています。
そのスプリングのバネレートを利用してアナログ的にトルクを判断、カチっとチカラをいなして知らせてくれます。
TKC・トーニチ・TONE ( トネ ) など、純日本の精密工具メーカーのトルクレンチは、1万回以上の使用でもトルク数値に乱れはありません。さすがジャパンブランド。
よって、それらのメーカーの中古品であれば購入するのも良いでしょう。( メーカー調整については以下で )
ただし、新品でも「 大丈夫? 」と思わせるトルクレンチが存在します。
おなじみBAL(大橋産業)中国生産クオリティー・・・。
103Nmのみ測定できる1本タイプじゃなくて、
30~180Nmの幅があるタイプで、3,980円!?
ちなみに内蔵スプリングをイメージするなら以下の通り。
たったのサンキュッパのスプリングが、この伸縮負荷に1万回以上耐えられるとは到底思えない。
ちなみにTONE製で、30~140Nmのトルクレンチは、
定価 55,440円 実売 20,000~30,000円
私は長く使いたい派なので、測定工具でBAL製は買いません。
で、先ほど出てきたメーカー調整のお話。
ちゃんとしたメーカーであればメーカーに送ってスプリング等の調整( 校正 )を行ってもらえるサービスがあります。
有料で10,000円くらい。ただしトーニチなどでは説明書通りに使ってれば10万回まで大きく狂うことが無いそう。すごい。
また、新品購入時から「 校正証明書 」が付いている場合があります。
特に工場で大量生産している製品というのは、生産したものすべてをチェックすることがありません。
100ロット中1個を無作為に抽出してチェックする程度です。
しかし、「 校正証明書 」が付いているということは、100本製造したら100本すべてチェックしているということ。
途方もない労力がそこには注ぎ込まれております。
品質に問題があってはならない。なぜなら測定器だから。
ジャパンブランドの工具メーカーは大抵、校正証明書が付いています。
安物のBALには付いていません。
おすすめトルクレンチ、プロオートTR-403PW
家に1台しかクルマが無いのであれば、
85、103、108いずれかのトルクのみ設定されているトルクレンチを購入すれば簡単です。バネの伸縮負担はありません。
ただ、今後乗り換える可能性がある人や、家族のクルマは違うメーカーのクルマという人にとっては、トルクに幅のあるトルクレンチがやはり便利。
とはいっても、メモリが細かくたくさんあって正直面倒だったりもする。
そもそもですが、30~180などの幅は広すぎる。
クルマでしか使わないのであれば85~108で良いのでは?
そんな私の要求にピッタリ適合したトルクレンチがありました!
PRO-AUTO製( プロオート )
3ポジショントルクレンチ
TR-403PW ( ソケットなし )
TR-403PWS ( ソケット2本付き )
トルクの幅は、85~108Nmなので
スプリングの伸縮負荷はありますけど、30~180Nmと比較したら全然健康というか。良い塩梅というか。
また、制度については、
- 右回り +-4%
- 左回り +-6%
になっています。
さっそくネットで注文。開封です。
70cmのケースが付いてきました。
セット内容は以下の通り、
- トルクレンチ
- ケース
- 説明書
- 英語の数値表
ソケット付きではなかったので、のちほどソケットを購入しました。
TR-403PWの長さは52cm
角ドライブは一般的な12.7mm
回転切り替えレバー。
右に倒すと締め付けることが可能になります。( 左に倒すと緩めることが可能ですが、トルクレンチは精密機械なので最後の締めの作業以外で使うのはオススメしません。 )
赤い部分が回転制御カラー。
カラーを回して、3パターンにセットします。
私が購入したのは、TR-403PWでソケットが付いていないモデル。よってソケットは別途購入しました。
精密工具でBALは買いませんが、ソケットであれば購入しちゃう。
もちろん薄口です。左21mm/右19mm 双方薄口仕様。
トルクレンチの使い方
では実際にトルクレンチを使ってみましょう。
ダイハツ・ソニカの規定トルクは、103Nmです。
設定カラーを回して、
103Nmに合わせます。
続いて角ドライブにソケットを接続します。
クイックリリースボタンを押します。
押した状態だと、ソケットがすんなり入ります。
続いて締め付けるので、回転レバーを
右に回します。
ちなみにトルクレンチを掛けるタイミングは、
ジャッキアップ中です。タイヤが浮いている状態で行います。
もし回転しちゃう場合は、ほんの少しアスファルトに設置させて回転しないようにしてトルクレンチを掛けてください。
時計回り・右回りで締まります。
カチっと鳴った瞬間に負荷を掛けるのを止めてください。
で、幅のあるトルクレンチのお約束。
使い終わったら最低レベルまで戻しましょう。高いトルク位置のままだと内蔵されているスプリングにずっと負荷が掛かっている状態で、狂う原因になってしまうから。
↓ 動画です。
トルクレンチ・プロオートTR-403PWのまとめ
¥ 13,000
色は、シルバーのみ
TR-403PW。85/103/108Nmの3パターンに対応しているトルクレンチ。ケース付き。
ソケットは付いていないモデルなので別途ソケットを購入しましょう。
¥ 15,000
こちらは21mm/19mmソケット付きモデルです。メーカーに確認しましたが薄口ソケットとのこと。
Pro-Auto 3ポジショントルクレンチ TR-403PWS ソケット21mm/19mm付き
¥ 700
21mmの薄口ソケットです。
¥ 700
19mmの薄口ソケットです。
¥ 37,000
色は、シルバー×ブラックのみ
TONE製、デジタル表示のトルクレンチ。27~135Nmまでカバーします。
続きです。
タイヤを保管する場合は空気を抜くとゴムの劣化が防げます。
しかし次のシーズンは空気が抜けている状態に。
そのため、家でタイヤ交換する人は電動の空気入れがあると便利です。
05.おすすめタイヤ空気入れ編。マキタMP180DZはオートストップ機能付き。 ← 記事です。
11.まとめ。実際に使って良かったタイヤ交換の工具をすべて紹介 ← 記事です。