中古のソニカ4WDから中古の2代目アテンザスポーツワゴン4WDに乗り換えたのは良かったのですが、アテンザのタイヤがなんとスポーツタイヤ。うるさい。
タイヤを買おうにも普通車17インチのコンフォートタイヤってお高いのね(涙)
だったらフロントタイヤ2本買ってやる!!と思ったら「確か4WDは4本同時交換って聞いたような。でもなんでだ?」
調べてたところ真実は「4WDは絶対同時に4本交換!」ではなく、「同じタイヤメーカーで同じ銘柄で同じタイヤサイズであれば、外周の差が前後で1%以内なら交換可能」というような結果でございました。(もっと激しく言うのであれば「タイヤ直径の差が1%以内だったら大丈夫」ってことですが、ただ私なら同じタイヤメーカーの同じ銘柄の同じサイズにします。ゴムの柔らかさ・潰れやすさが違うでしょうし。)
軽自動車や昔の乗用車に良く採用されていた生活四駆(一番コストが安価な4WDシステム)は駆動力伝達のための連結に「普通のビスカスカップリング」を採用しています。これは良くも悪くも「前後で回転差が発生した場合のみ」作動して連結されます。逆に言えば前後で回転差が生まれ続けていると「必要がないのに連結し続けている」状態となり詳細は以下をご一読していただければとは存じますが結果としてビスカスより炎上して車両火災・またはビスカスやベアリングが走行中に破損します。よって「普通のビスカスカップリング」の生活四駆で前後異なるタイヤを履く場合は「1%未満」は絶対に守ったほうが良い気がします。
「電子制御カップリング」の場合は、普通のビスカスのように回転差で連結が決定されるわけではなく、各種センサーの総合的判断によって連結が制御されるため、個人的には1%以内なら大丈夫な気がします。ただし、スバルで言うところのアクティブトルクスプリット4WDでは制御に影響が出るため4本同時が推奨されているとかなんとか。
では、お茶でも飲みながらご覧ください。
目次でございます。
軽4WDから、普通車4WDに乗り換えました。
ソニカ4WDから、アテンザスポーツワゴン4WD(2代目GH型6AT)に乗り換えました。
ソニカの4WDは軽自動車ではお馴染みのFFベースの生活四駆(スタンバイ式)でして、冬の信号待ちアイスバーンからの発進の際にフロントが滑ってしまった場合、ビスカスに密封されたシリコンオイルが前後の回転差による発熱で膨張(油圧が高まって)内部の複数枚のプレートが押されて結合→トルクがほぼ無かった後輪に多くトルクが配分されるという「物理的カラクリ」によってスムーズに発進できるアレです。
「フロントが滑って」から「リアタイヤがグリップする」というタイムラグが玉に瑕。とは言え、北海道の札幌に住んでおりますがアイスバーンからの発進がとても楽になりますし、雪で段差ができてしまっている駐車場などもスムーズで自然。運転が難しいと感じることはまず無いはず。「急が付く運転」の場合は話が別なだけであって。
エンジン---CVT---トランスファ---プロペラシャフト---ビスカスカップリング---リアデフ
で、ソニカの場合は「単なる生活四駆」ですし、パワーが小さかったからなのか夏の乾燥路面などで「走行中・加速中・コーナリング中」にAWDの恩恵を感じたことは、、、無かったように思えます(笑)
「横滑り制御システム」も「トラクションコントロール」もありません。良くも悪くも「昔の安い4WD」でした。
対して、アテンザスポーツワゴンの4WDは、電子制御アクティブ・トルクコントロール・カップリング4WDシステムが搭載されております。(スバルのアクティブトルクスプリットAWDと基本やってることは同じなのかしら?多板クラッチですし。)
エンジン---CVT---トランスファ---プロペラシャフト---(電子制御アクティブトルクコントロールカップリング)リアデフ
「普通のビスカスカップリング」と違う点とは、トルク配分の起点が「フロントタイヤが空転したタイミング」ではなく、車両の状態が常に各種センサーが監視しており「駆動力をリアタイヤに配分したほうがいいな!」とコンピューターが総合的に判断したタイミングでトルク配分される点。
トルク配分の方法も、「普通のビスカスカップリング」では「回転差でシリコンオイルが熱膨張、油圧が高まる、プレートが押される、連結し配分される」と原始的であるのに対して、「電子制御カップリング」ではコンピューターが判断したタイミングで「電子制御による油圧クラッチ調節で油圧を高めて連結」となります。(電子制御によってクラッチ調節→油圧調整なのか、電子制御で電磁クラッチを調節することで連結するのかハッキリ書いていることろが見つけられませんでした。アテンザはどっちなんだろう?)
前後の回転差が生じたときだけしか4WDにならない、なったとしても回転差の大小でリアに流れる駆動力も大小となってしまう普通のビスカスカップリングに対して、センサーが判断したらいつでもどこでも後輪に「適切に」トルクが配分されるのが「電子制御ビスカス」の良いところ。
特に恩恵が大きいのは「コーナリング中」に適切にリアタイヤにも駆動力が伝わることによってスムーズに曲がれてしまう、という点のような気がします。あとは横滑り制御の一環で車体の不安定さを打ち消すためにリアにトルクが配分される・配分がカットされるとかなどでしょうか。
マツダのアテンザのプレスリリース(GY型)には以下の様に紹介されておりました。ただ、前後のトルク配分についてGH型でハッキリ書いてあるのを見つけられませんでした。
初代のGY型(マツダスピードアテンザ4WD)では
- 通常走行
- スポーツ走行
- 滑りやすい状況
の3つの制御モードがあるとのことで、それらは
前 100:後 0
~
前 50:後 50
の間で切り替わる。
状況にもよりますが、アクセルを踏んだ際に「駆動力の配分が必要」とコンピューターが判断した場合、カップリングが連結するまでに要する時間は0.1秒以内。
- ハンドル舵角センサー
- スピードセンサー
- タイヤ回転センサー
- ブレーキセンサー
- ロール・ピッチ・ヨーセンサー
- アクセルスロットルセンサー
などからの数値を常にコンピュータが総合的に判断して「現在はこのような走行状況のはずなのでこの走行モードにしよう、トルクの配分はこのくらい」と言った具合でしょうか。
「通常走行」では、車両安定重視で制御。直進走行でもリヤトルクを伝達。
「スポーツ走行」では、アンダーステアを抑えるようにトルク配分。旋回中の加速時は特にリアトルクへの伝達が多い。
「滑りやすい道」では、車速・アクセル開度に応じてテールスライドを防ぐようトルク制御。
また、登坂発進時には、スロットルと車速のセンサーで判断し直結4WDと同等のトルクを後輪へ伝達しているらしい。
2003年に電子制御のカップリングはそれこそ外車や高級車などにしか付いていなかった(らしい。本格派4WD車の代表格、当時のSUVもといクロカン四駆のパジェロとかサファリとかランクルとかビッグホーンとかエスクードとかはパートタイム式4WDかセンターデフ付きかトルクセンシングLSDセンターデフでデフロック付きなどであり、お買い得なクルマやコンパクトカーやセダンタイプの軽自動車だと一番安い普通のビスカスカップリング式4WD。でも2008年GH型アテンザの4WDは当時240万円なので高級車ってことでもない(笑))
(1)4WDシステムの特長 | |
1) | 高い雪上走破性と雪道でも安心できる操安性の実現 |
2) | スイッチ操作なしに直結4WDに近い走破性を実現 |
3) | 安定走行時の後輪伝達トルク低減による燃費の向上 |
4) | アクティブセーフティ性能の向上 |
(2) | 4WDシステム内容 |
4WDシステムとしては新開発のアクティブ・トルク・コントロール・カップリング方式を採用。これは優れたアクティブセーフティと、高速走行時及び滑りやすい雪道などでも安心して走れる操縦安定性を目指して新開発した電子制御式の4WDシステムである。 車速やアクセル開度に応じて、リアデフ内のアクティブ・トルク・コントロール・カップリング(湿式多板クラッチ)を可変制御し、後輪へのエンジントルクを最適化する。 低速時には、全輪を直結状態にして、安定した雪道発進や登坂を実現し、コーナリング時等ではアクセル開度と4輪それぞれの回転速度をリアルタイムで検知し、後輪へのエンジントルク配分を適切にコントロールして、滑りやすい路面などでの安定した操縦性を確保する。 高速道路などでの安定走行時には、後輪の駆動力を小さくしてトルク伝達ロスを低減させることで燃費向上を図り、レ−ンチェンジ、コーナリング及び加・減速時には、後輪の駆動力を瞬時に増して操縦安定性を向上させている。 また、4W-ABSやDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)との協調制御により、高いアクティブセーフティ性能を実現している。 |
普通車の4WDに感動。
ソニカは、
- フロント:ストラット、リア:トーションビーム
- タイヤサイズ:165/55R15
- タイヤ:ルマンV
アテンザスポーツワゴン4WDは、
- フロント:ダブルウィッシュボーン、リア:マルチリンク
- タイヤサイズ:215/50R17
- タイヤ:ディレッツァ
車格の前にサスペンションがまず高級でタイヤも太い!!しかもスポーツタイヤ。
そんな別物なのですが、運転していて「おっ!?」と感じたのは「コーナーの安定性」
確かに80,000kmの老体でありダンパーはすでに抜け切っており揺れのお釣りが来ちゃう困ったさんなのですが、ただコーナーを曲がっている間の安定感と言ったら18年間ソニカを乗り続けたこの身としては、もはやカルチャーショック(笑)
※ただ、そのコーナーの安定性も
- 適切にリアへトルクが配分されているからか?
- スポーツタイヤだからグリップが良いのか?
- 太いタイヤだからグリップ感があるのか?
- 4輪独立懸架サスペンションの賜物なのか?
わかりません(笑)少なくともトルク配分についてはDSCを切ってカーブを曲がってみないとダメですがなんか怖いな(笑)
で、ふと思ったのですが走行状況に応じて「駆動力が適切に配分される」って、日産のR32スカイラインGT-RのアテーサE-TSみたいなものなのか!(とは言ってもレースで勝つため速く走ることを目的として開発されたのがアテーサ、安心・安全なスタビリティコントロールのためのアテンザなど現在の4WDシステムの根幹としての電子制御アクティブトルクスプリット。似て非なるものなのかしら。ただ、1989年にその技術がすでに市販化されていたとは恐れ入ります。今は懐かしい技術の日産。)
スポーツタイヤ、うるさい。交換したい。
で、装着されているタイヤがダンロップのスポーツタイヤ・ディレッツァでございました。
生産された年は2021年の11月。
今が2025年の6月です。
タイヤの溝(ミゾ)は以下の通りでまだまだ使えます。
LF:6.0mm RF:5.7mm
LR:5.5mm RR:5.85mm
ですが、
ロードノイズがうるさいんですよね・・・。
とりあえず、フロントドア・リアドアにデッドニングを施しまして、スペアタイヤの空間もデッドニング。さらにはフロントのタイヤハウスの内側もデッドニング。
これだけやって確かに当初よりは静かになったのですが、まだうるさい。スポーツタイヤはグリップ力と引き換えに静粛性がトレードオフ。この間初めて時速100km/hで走行したのですがちょっとねぇ・・・。
8月にお盆で登別・室蘭方面にお墓参りですが高齢の母も同乗します。その前になんとかしたいなぁ、と。(ソニカはと言いますとドア+タイヤハウス+フロア全面のデッドニングにシンサレートたっぷり添えて。そしてタイヤはルマン5でしたから。)
さてさて、普通車のタイヤをショッピング。
215/50R17のルマンV+はおいくらかしら?と調べてみると
新品タイヤ 4本:71,200円
高いです・・・。
ソニカなら36,000円なのに・・・。
4WDはなぜ4本同時交換なんだ?
ならば、
最悪フロント2本だけでもいいぞ!!
と思ったのも束の間、
「タイヤの大きさって前後で違ってもいいの?」という疑問が。
大きさってのは「円周(外周)の長さ」のことね。
新品タイヤはミゾが残8mm
フロントを8mmの新品を履かせて、
リアは4mmくらい残っているヤツを履かせるとします。
差は4mmだ。
これっていいのか!?
昔から、
4WDは、4本まとめて交換しないとダメ!!とか言われているのは知っている。でもなぜだかは知らない。
CX-5の4WDのディーゼルエンジン車は「フロント」が超ヘビー級なので、フロントタイヤがすぐに削れるらしい。つまり前後のミゾ残mm数のバランスは均等にはならない。
だったら少しぐらい前後タイヤにミゾ残mm数が異なっても大丈夫なのではないか!?と思うわけです。
あとほら、スペアタイヤ。あれなんかもモロに前後のバランスが崩れちゃうし。
前後の回転差で火災
物理的カラクリのビスカスでも、電子のビスカスでも「リアに駆動力を分配させる」には「オイルの圧力制御」が必要です。
特に普通のビスカスだと
オイルの熱が高まる熱膨張を利用して圧力を発生、その圧力でプレートが結合、駆動力をリアに伝える・駆動力が分配されるという仕組み。熱の発生は「前後の回転差」から生まれます。
信号待ちからのアイスバーンスタートでフロントタイヤがスピン。駆動力が分配されますが長くても5秒もあればフロントタイヤのグリップだけで走行可能となる速度域まで加速できます。よってリアへのトルク配分の山場はあっと言う間にすぐ終了。回転差が無くなるためオイルの熱もすぐに下がります。
しかし、それがずーっと続くとどうでしょう?
つまり、
回転差がずーっと発生していたら?
フロントにミゾ残8mmを履かせる。
リアにミゾ残4mmを履かせる。
当然に、フロントとリアの円周は異なります。微小ですが。
円周の長いフロントタイヤよりも、円周が短いリアタイヤのほうが1回転の距離が短い。つまり「前後の回転差」が生じます。
ホイルスピンもしていないのに走行中、ずっと回転差が発生している状態です。
回転差が生じると「熱」が発生します。すると熱膨張による圧力が発生します。
アイスバーンスタートなら5秒で回転差が終わりますが、距離100km先の目的地まで、高速道路を時速100km/hで走行し続けるとしたらどうなると思いますか?考えるまでもないかと。。。これが4WDのタイヤ交換は4本同時じゃなきゃダメ!!という理由(のようです)
ただし、タイヤ外周の差が1%未満ならOK
ただし、ビスカスカップリングだったりセンターデフだったりするものは、前後の差に許容範囲を持たせてあるらしく、許容範囲を超えない回転差であれば前後の差を吸収してくれるように作られているみたいです。
その、許容範囲の値が1%。(ネットで調べた限り、1%らしいです。)
ここからは小学5年生で習った「円周率=3.14」を使って説明します。
直径 ✕ 3.14 = 円の外周の長さ という公式を使うと、
100円玉の直径は 22.6mm
では、100円玉の外周の長さは?
22.6mm ✕ 3.14 = 70.964mm と求めることができます。
残8mm(新品)の「タイヤ外周の長さ」を計算する
アテンザスポーツワゴンのタイヤサイズは、
- 195/65R16
- 205/60R16
- 215/50R17
と3種類あるのですが、ここでは 215/50R17を使います。
一般的に 215/50R17の新品タイヤの直径は 653mm(とのことでした。本当か?今度測ってみようかしら。ちなみにミゾですがタイヤメーカーや銘柄によって7.5mm~8.0mmと異なるみたいデス。)
では、215/50R17の外周の長さは?
653mm ✕ 3.14 = 2,050mm
2,050mm が基準ですが、
その1%は 20.5mmです。( 20.5 ✕ 100 = 2,050 )
よって許容範囲は、
2,029.5mm ~ 2,050mm ということになりますね。
フロントタイヤ残8mm、リアタイヤ残4mm
今回、フロント用に新品を2本買う(8mm)としましょう。
で、リアには現在履いているミゾ残4mmを使いましょう。
差は4mmです。
新品タイヤの残8mmの直径は653mmでしたね。
では、残4mmのタイヤの直径ですが、
新品直径653mmから、左端マイナス4mm、右端もマイナス4mm。
653 - 4 - 4 = 645mm(残4mmの直径)
残4mmの外周は、
645mm ✕ 3.14 = 2,025.3mm と求めることができましたがこれは 1.2% を示します。
215/50R17の許容範囲は、2,029.5mm ~ 2,050mm ですので減り過ぎのため許容範囲外です。
フロント8mmの場合、リアに4mmのタイヤを履かせてはダメ。
使用してはいけません、ということになります。
フロントタイヤ残8mm、リアタイヤ残5mm
では、
フロント8mmにリア5mmではどうでしょう?
差は3mmです。
653 - 3 - 3 = 647mm(残5mmの直径)
647mm ✕ 3.14 = 2,031mm と求められましたので、0.92%
許容範囲は、2,029.5mm ~ 2,050mm ですので
許容範囲ではありますが、ギリギリ・・・。
使用は可能。
フロントタイヤ残8mm、リアタイヤ残6.5mm
ギリギリ過ぎるのもどうかと思いますので、
フロント8mmに リア 6.5mmではどうでしょうか?
差は1.5mmです。
653 - 1.5 - 1.5 = 650mm(残6.5mmの直径)
650mm ✕ 3.14 = 2,041mm と求められました。0.43%、
許容範囲は、2,029.5mm ~ 2,050mm ですので
余裕があるのでOKです。
外周まで求めずとも、
新品8mmの直径が653mm
残6.5mmなら、直径は653mm-1.5-1.5=650mm
653-650=差3mm
3mmは653mmの何%か、ということで
3[÷]653[%] → 0.45%と求めることも。数値に若干差が出ますが。
結論、ミゾの高さの差は3mm以内
4WDのタイヤを交換する場合で、前後のタイヤの円周(外周)の長さが異なる場合は、
前後のタイヤの「ミゾの高さの差」が3mm以内であれば「OK」と言えます。( ※ 215/50R17で直径が653mmの場合)
ただし、3mmではギリギリですので、余裕を考えるなら2mm以内が安全かと思われます。
※ 本当にギリの3mmをどうしても装着しなければならない場合は、空気圧を少し高めに入れるという手もありますね。ただ空気圧を設定値よりも高めに入れるとタイヤは減りやすくなる。特にセンター。うーむ。諸刃の剣、素人にはオススメできない(ゴノレゴ)かしら・・・。
あくまで私が調べた4WD情報によると、です。
調べた情報が間違っている可能性もあるわけなので、まずはビスカスカップリングによる前後タイヤの回転差の許容範囲についてご自分で調べてみてくださいね。