2020年7月より、煽り運転( あおりうんてん )で、
現行犯、または後日証拠となるドライブレコーダーにより警察に逮捕された場合、
免許取消になる法令が施行されました。
今回は、煽り運転の原因の一つとして考えられる
スピードメーターのズレについて説明したいと思います。
目次でございます。
タイヤの外周から、実際の速度が計算できます。
わたしが乗っているダイハツの軽自動車、ソニカで説明させていただきます。
タイヤサイズは、標準で15インチです。
ソニカのスピードメーター。
速度センサーが読み取ったデーターからコンピューターが計算、その計算結果がスピードメーターの針で表示される仕組みです。
タイヤの外周の計算
速度計算には、タイヤの外周が必要になります。計算方法は以下の通り。
15インチタイヤ( ポテンザ )の直径( 外径 )はメーカーカタログより、56.3cm
ということは、半径( r )は28.15cm
外周は中学生で習う公式の、外周=2πrを利用します。
円周率( π )=3.14
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2 × 3.14 × 28.15 = 176cm
15インチタイヤの外周は176cmです。
速度の計算
時速60km/hは、1時間に60km進める速さです。
60kmをmに換算すると、60,000Mになります。
タイヤは1回転で、1.76M ( 176cm ) 進みます。
60,000M ÷ 1.76M = 34,140回転
1分だと569回転
逆に考えると、
タイヤの外周が176cmだと、
1時間で34,140回転で、60,086m進みます。
1時間で60,086m なので、kmだと
1時間で60km
つまり、
実際の速度が、時速 60km/h
外周176cmのタイヤの実際の速度
外周176cmのタイヤであれば、
1分521回転した場合、
実際の速度は、時速55km/hで
スピードメーターも55km/h
1分回転 | 1時間回転 | 外周 | 距離 (M) | 実際の速度 |
---|---|---|---|---|
521 | 31,260 | 1.76 | 55,018 | 55km/h |
569 | 34,140 | 1.76 | 60,086 | 60km/h |
616 | 36,960 | 1.76 | 65,050 | 65km/h |
663 | 39,780 | 1.76 | 70,013 | 70km/h |
758 | 45,480 | 1.76 | 80,045 | 80km/h |
853 | 51,180 | 1.76 | 90,077 | 90km/h |
947 | 56,820 | 1.76 | 100,003 | 100km/h |
1042 | 62,520 | 1.76 | 110,035 | 110km/h |
タイヤの外周の違いによる、煽り運転の原理
タイヤの溝が減ると、スピードメーター表示より実際の速度は遅い
ソニカの15インチモデルの場合、
外周が176cmであれば、スピードメーターは正確でありズレはありません。
しかし、タイヤは走ると摩耗して減ってきます。新品タイヤの溝は1cmが普通です。
では、1cmの溝が減ってボウズになった場合はどうでしょうか?
直径で2cm減って、半径も減ります。
外周を計算し直します。
2 × 3.14 × 28.05 = 176cm
あれ?外周は変わりませんね。
1cmの溝が減って丸坊主になった程度では、特にスピードメーターに狂いはありません。
では、さらに0.5cm減ったらどうでしょうか?( 普通ならワイヤーが見えちゃうほど削れる )
直径が56cmになったので、半径は28cm
外周 = 2 × 3.14 × 28 = 175cm
標準の状態から1cm短くなりました。
ここで、時速100km/hを出した場合に違いが見られます。以下をご覧ください。
176cmだと、56,820回転、距離は100,003km、実際の速度は100km/h
175cmだと、56,820回転、距離は 99,435km、実際の速度は 99km/h だけどスピードメーターは100km/hを指しています。
つまり、
基準の外周よりも、減った場合は、
スピードメーターの速度よりも、
実際の速度は、遅い
タイヤインチダウン、外周が大きく減った場合
タイヤの外周が減るのは、摩耗だけではありません。
冬タイヤは、標準インチよりも1インチまたは2インチ落とすのが通常です。
外周は同じでインチを下げると、タイヤの厚みが増えます。
夏タイヤと比較して、増えたタイヤの厚みがクッションとなり冬のでこぼこ道も快適に走行できるようになります。
わたしのソニカの場合は夏は15インチ、冬は14インチです。
ただし全国のソニカオーナーの場合、13インチタイヤを装着していることも珍しくありません。
1インチであれば、外周はプラスでもマイナスでも微々たる変化で済みます。
しかし標準サイズよりも2インチ以上変更する場合、
プラス・マイナスの幅が大きく変化してしまうケースがあります。
ソニカで見てみましょう。ソニカでスタッドレス13インチを付ける場合、
タイヤサイズは、155/65R13 です。
銘柄はブリジストンのブリザックVRX
タイヤの直径は53.8cm、半径は26.9cm
外周を計算してみましょう。
2 × 3.14 × 26.9 = 168cm
標準が176cmでしたから、8cmも短くなってしまいました。
13インチの実際の速度を計算します。
176cmだと、56,820回転、距離は100,003km、実際の速度は100km/h
168cmだと、56,820回転、距離は 95,457km、実際の速度は 95km/h だけどスピードメーターは100km/hを指しています。
インチアップ、外周が大きく増えてしまった場合
さて、夏タイヤ15インチから冬タイヤ13インチにインチダウンした場合のスピードメーターのズレでしたが、
逆にインチアップした場合も同じことが言えます。
わたし自信はインチアップの経験はありません。( 個人的にいかつく見えるのは遠慮。 )
インチアップホイールを付けているはマイルドヤンキーな人やミドルエイジヤンキー・マジヤンキーな人がほとんどで、車種もアルファード・ヴェルファイヤ・エルグランド・ボクシー・ノア・セレナ・オデッセイといったミニバンがほとんど。昔はセダンのVIPカーが多かったものですが。
知り合いのガソリンスタンド勤務のスタッフもアルファードハイブリッドをインチアップしていたりします。
で、大きくインチアップした場合もプラスまたはマイナスに外周が大きく変わるケースがあります。
先ほどは大きく減った場合でしたので、
今度は外周が大きく増えてしまった場合どうなるのかを説明いたします。例として。
標準が 225/60/R17 サイズと仮定して、
外周が220cm ( 2.2M )
1分回転 | 1時間 | 外周 | 距離 (M) | 実際の速度 |
---|---|---|---|---|
417 | 25,020 | 2.2 | 55,044 | 55km/h |
455 | 27,300 | 2.2 | 60,060 | 60km/h |
493 | 29,580 | 2.2 | 65,076 | 65km/h |
531 | 31,860 | 2.2 | 70,092 | 70km/h |
607 | 36,420 | 2.2 | 80,124 | 80km/h |
682 | 40,920 | 2.2 | 90,024 | 90km/h |
720 | 43,200 | 2.2 | 95,040 | 95km/h |
758 | 45,480 | 2.2 | 100,056 | 100km/h |
834 | 50,040 | 2.2 | 110,088 | 110km/h |
で、外周が15cm増えたとしましょう。
220cmだと、45,480回転、距離は100,056km、実際の速度は100km/h
235cmだと、45,480回転、距離は106,878km、実際の速度は 106km/h だけどスピードメーターは100km/hを指しています。
つまり、
基準の外周よりも、増えた場合は、
スピードメーターの速度よりも、
実際の速度は、速い
まとめ
標準外周より、外周が小さい
→ スピードメーターより、実速は遅い
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標準外周より、外周が大きい
→ スピードメーターより、実速は速い
外周が大きい=煽り運転に繋がる例
気付いた方もいらっしゃるかと思いますが、
スピードメーターで100km/hを指していて、実測90km/hであれば害は無いです。
( 渋滞の原因にはなりますけど、本人は100km/hで走行しているので満足 )
しかし、逆に
実測で100km/hで走行しているのに、メーターが90km/hだとしたらどうでしょう?
上の図は極端な例ですが、外周が大きい場合はこの現象が発生します。
標準外周より外周が大きい場合は、煽り運転しやすい状況であることを理解しましょう。
「 おせーよコラ!!」と1度でも思ったことがある人は、標準外周と実際に履いているタイヤにメジャーを当てて半径を調べて外周を計算して比較してみましょう。標準外周よりも大きくないですか?
外周が大きければ、メーターの読み方をマイナスしながら走行してください。
外周に大差なければ、カルシウムが足りないか、今の仕事や生き方に余裕がまったく無いかのどちらかです。
マイナス外周とプラス外周の煽り運転の例
先頭を走るクルマは標準外周よりも小さい168cmを装着。56,820回転、距離は 95,457km、実際の速度は 95km/h だけどスピードメーターは100km/h
よってドライバーは「 きちんと100km/hで走っている。煽り運転されるいわれはない。」と思っています。
後方を走るクルマは標準外周よりも大きい235cm。実速95km/hのクルマの後ろを走行していますので、43,200回転、距離は 95,050km、実際の速度は 95km/h だけどスピードメーターは90km/hを指しています。
「 遅いぞっ!!100km/h出せよ!! 」と勘違いして煽り運転。
で、標準外周のタイヤを履いたクルマが1番うしろで、
「 前のクルマ2台は95km/hで走っているのか 」
と、思いながら紫クルマとの距離を2秒あけて、安全な車間距離マージンを確保して追走しています。
2秒ルールってなんだ?
中川家礼二ではありませんが「 心のブレーキ(2秒) 」を心がけましょう。
プリウスはメーター100km/hで、実際の速度が93km/h
3代目プリウスでは、スピードメーター読みで時速100km/hのとき、
実際の速度は93km/hです。誤差-7%
実際の速度を低くすることは、燃費向上に繋がります。
よって、トヨタのこのやり方は消費者を騙す行為に等しいです。
日本車ではここまでのズレはトヨタ・プリウスくらいですが、全メーカーが実際の速度が低く表示されるようなセッティングになっています。
よって、3代目プリウスを購入している方は、
標準外周で走行しているのであれば、
高速道路はスピードメーター読みで107km/hの時、実測 100km/hであることを頭の片隅に入れておいてください。
高速道路を93km/hだと少し渋滞を引き起こす原因になってしまいます。
日本車が壊れにくいと言うのは、日本だと時速100km/hまでしか速度を出せない=クルマの部品にストレスが少ない=壊れにくい、ということかしら?
速度無制限のアウトバーン、ヨーロッパの高速道路で日本車を走らせている人に尋ねてみたい。
¥ 680
ドライブレコーダーを装着していることをアピールして、煽り運転をさせない抑制させるためのステッカーです。
¥ 19,800
前後の2個セット。
映像はスマホで確認タイプ
フロント151度ワイド、リア157度ワイドの撮影範囲で安心。HDRで夜間もクッキリ。スマホに専用アプリをインストールすれば記録したデータを無線LAN転送でスマホで確認できちゃいます。これが意外と便利。モニター付きタイプでも映像確認できるのですが外さないと手元で見ることができません。その点このスマホ転送タイプだと手元でスマホで確認できます。また、モニターが無い分、フロントガラスにより近づけて設置できるのでガラスの反射や映り込みが少ないのもポイント。16GBのmicroSDが付属されるので直ぐに使えます。