エアコン・電気ストーブ・石油ファンヒーター。
北海道では、炎で芯から温まる石油ストーブが当たり前です。
でも、灯油代にいくらかかっているのか。灯油の消費量をメモって算出してみました。
目次でございます。
今時は、エアコン暖房の電気代が1番安い
まず最初に、ハッキリ説明しておきます。
石油ストーブの灯油代よりも、
エアコンの方が、安い
エアコン暖房の電気代の方が安いのです。
生活家電に詳しくない方々、特に御年配の方は未だに、エアコンの冷風は電気代が高い!エアコンの温風なんてもっと高い!!
冬の暖房は灯油ストーブ!灯油代の方が安くて暖かい!と勘違いなさっている人は割りと多いです。
エアコンの電気代が実際に高かったのは、もう40年前のハナシです。
室内と室外の空気の温度差を利用して涼むことができる熱交換器( ヒートポンプ )が発明されて、クーラーが誕生しました。
その後、ヒートポンプのモーターを細かく電気制御できるインバーター回路が発明されて消費する電力量が小さくなることにより、冷風のみだったクーラーに暖房機能が加わり、エアコンの誕生。
2000年に入ると、さらにモーターを細かく制御できるインバーターPAM方式( パム )が開発されて、完全に灯油代と電気代の立場がひっくり返りました。
モーターの回転を細かく制御できると電気代は安く済みます。
クーラーの時代は、モーターの回転を切る・切らないの2択のみで効率が悪かった。
で、
インバーターエアコンは、全域で回転数を制御できるのでそれだけで省エネなんですが、低回転でも高回転でも一定の電圧でしか制御できないので限界がありました。
分かりやすく言うなら、低回転時は低電圧でいいのに、いつでも一定の中電圧なのでムダがある。逆もまた然り。
そして、
PAM式で、電圧の、高い・低い でモーター制御が可能に。よりハイパワー、より省エネを実現。特に低電圧24時間付けっ放しによる大幅な省エネが可能になりました。
では、一見電気代のムダとしか見えない付けっ放しが、どうして電気代の安さに繋がるのかを見てみましょう。
エアコンは、24時間運転で省エネを実現する
以下は、エアコンの使い方。2タイプあります。
日中OFF、帰宅してONのタイプと、24時間20℃設定のタイプ。
室内が8℃で、設定温度を20℃にした場合、12℃上昇させるための消費電力が相当デカイのです。
では、普段から20℃設定で運転させているとどうなるか?
20℃を維持するためには必要最低限の小さいパワーで運転させるだけでOK。余計な電力は必要なく、微弱な電力だけで維持できます。
微弱な電力で24時間使い続けたトータルの電力と、毎回12℃上昇させる電力を比べると、毎回12℃上昇させる場合の方が消費する電力が大きいのです。24時間運転のほうが少ない電力で維持できるということです。
で、小さいパワーでも、電圧バリバリなインバーターに変わって、小さいパワーなら、小さい電圧でセコセコ働くPAM式が登場したことにより、
エアコンの、かしこい使い方として、「 あえて24時間運転することにより、電気代を安く済ませる 」という方法が定着しました。夏でも冬でもです。もう一度言います。
夏でも、冬でも です。
エアコン、冬。24時間運転の実験。
東京に住んでいる友人の妹は、数年前にこんな実験をしました。冬と夏で。
間取りは、築30年のアパート。和室8畳ワンルーム。2階。ベランダ付き。直下の1階には住人アリ。
2014年に、パナソニックのCS-223CFという和室対応6畳 39,800円の冷暖房エアコンを購入。
で、冬場に設定温度19℃で 24時間運転を実験。
実験結果。約 3,000円
その結果がコレです。1ヶ月分。( 運転:自動モード )
;゚ロ゚) !?
シーズン | 設定温度 | 他の家電を含む月の電気代 |
---|---|---|
冬季 | 19℃で、24時間付けっ放し | 3,000円 |
夏季 | 25℃度で、24時間付けっ放し | 2,700円 |
ついでに夏場は、25℃のつけっぱなしの記録。
ちょっと驚異的な料金。8畳ワンルームと言えど。部屋が冷え切ってからの暖房は本当に電気のムダと言えるかも。恐ろしい。
あとは2階以上に住んでいる場合で、直下に住人が住んでいる場合も省エネに繋がります。床の暖かさが違います。特に木造アパートの場合は。
で、その妹の友達は、冬場に 設定温度 20℃ + サーキュレーター + 加湿器のつけっぱで、3,600円とか。うーむ、すごいね。
エアコンの選び方。消費電力をチェックして買おう
インバーターPAM式の登場で一気に電気代革命が起こったエアコン。
では、どんなエアコンを購入すれば良いのか?ですが、意外と簡単です。
以下はエアコンの性能を示した表になります。注目すべきは、消費電力のカッコ内です。
設定温度になったあと、いかに小さいパワーでモーターの制御をし続けることができるのか、それが24時間運転のすべてです。
よって、小さいパワーで運転している時の消費電力が、小さければ小さいほど省エネということ。
上の図では、インバーター無しの595Wは論外。( 595ワットをずっとマックスで消費し続けるワケではないですが、非効率であることは間違いないので。)
それ以外、最小・消費電力が 110~165付近であればどれを購入していただいても正解です。シーズン電気代が1万円も違う!ということは絶対に無いので(笑)
雪国の古い木造建築だと、エアコン暖房はやめたほうがよい。
ここまで聞くと、
エアコン万能説となり、北海道や東北の人も冷暖房エアコンを購入すればみんな幸せになれる!!
ような 気がしますが、とんでもない!!
まず、東京と北海道の平均気温の問題。2月の東京の平均はプラス5℃、対して雪国はマイナス3℃。
エアコンは室内と外気の気温差を利用して暖めたり涼んだりする仕組みですが、外気との温度差があればあるほど効率は悪くなります。
仮に室温が外気温と同じだとして、
北海道だと、マイナス3℃ → 20℃ 温度差は、23℃ であるのに対し、
東京は、5℃ → 20℃ 温度差は、15℃ で済みます。
この8℃のぶんだけ北海道は余計に電力を消費してしまう。
ただし現在では、ダラダラ暖かくするのではなくハイパワーの急速暖房でスグ暖かくすることでトータルの電力消費を抑える寒冷地エアコンが各メーカーから発売中。
しかし、大前提にエアコンは住宅の気密性が低いと効率が悪いという欠点があります。
分かりやすく説明するのであれば、暖かい空気が部屋から逃げやすいか?それとも部屋に留まるか?です。
北海道は暖かい家作り( 二重窓・分厚い断熱材 )を採用しているとは言え、木造建築の一軒家・アパートは気密性が低く、暖めた空気が壁や天井から外に逃げやすい。これは中古でも新築でも同じです。
対して、コンクリート住宅・マンションは気密性が高くて熱がまったく逃げません。
友人の家が2階建てのコンクリートRC造なのですが、コンクリートが外気をシャットアウトすると同時に、ストーブの熱をコンクリの壁や天井が蓄熱することで、まったり暖かいことこの上ない。
木造建築だとしても、平均気温が高い東京であれば外気温が高いためそれほど寒くはなりませんが、北国では厳しいです。
当然、中古住宅の築30年以上の木造建築では致命的で、熱が逃げやすく冷めやすい。
断熱材の老朽化により気密性は低下、基本設計の古さで冷気が入りやすい。そんな環境で仮に寒冷地エアコンを導入したとしても、暖かく幸せな生活ができるハズがない。
ただし、
4畳~15畳といった閉ざされたスペースで使うなら、木造・中古住宅でも24時間エアコン暖房戦略は通用します。電気代を安く済ませることができます。
問題なのは、
吹き抜け構造の場合。
壁を取っ払って、
空間が大きい場合。
念願の新築、木造の一戸建て。
リビングは2階まで吹き抜け、大枚叩いて寒冷地エアコンを購入して、
いざ住みだしたら寒くてたまらないと不満をもらす家庭が続出中・・・。
なんだかなぁ~。
家族といつでも顔を合わせられるよう、壁を少なくした設計。
日光をたくさん集められ、日中の家の中を明るくしたい吹き抜け設計。
それは素敵なコトなんですが、
壁を無くして空間を広くしてしまったせいで、熱しにくく冷めやすい家の出来上がり。( 夏はその逆 )
24時間エアコン戦略だと微弱な電力のはずが、空間が広いためにそこそこの電力で24時間稼動。電気代が高くて家計が苦しくなる。
節約のための24時間エアコン戦略のはずが、節約のために使えない。なんて皮肉だ。結果、
こまめにON・OFFするもんだから新築なのにいちいち寒いという失敗。
北海道で吹き抜け設計で家を建てて良い家庭は、
極端に言えば金が掃いて捨てるほど余っている裕福な社長クラスだけです。月に5万~10万の電気代なんてまったく気にしない人達。
まぁ、そんなブルジョアな人達は、そもそも木造ではなくコンクリート住宅を選びますが・・・。
北海道で寒冷地エアコンが通用する家というのは、
コンクリ住宅・マンションのみ。また、木造でも空間の狭い場所ならOK。
吹き抜け or 空間が広いリビング + 木造 = 死ぬほど向きません。
炎天下の砂漠で、打ち水で涼を取ろうとするみたいなもの。
石油ストーブの、シーズン灯油代は約 13,000円
では、本題です。
石油ファンヒーターを1シーズン使うと、灯油代はいくらになるのか?
テスト環境は、以下の通りです。
築40年の木造の和室の6畳部屋。
住所 | 札幌市 |
---|---|
住まい | 築40年の一軒家 |
フロア | 2階 |
形式 | 和室6畳 |
特記事項 | 屋根裏からの冷気がほのかに降りてくる |
使用ストーブは、以下の通りです。
火力セレクトとは、弱・中・強の火力を、設定温度に関係なく燃焼し続けることができる機能です。
セーブ運転のように、設定温度でいちいち消火することがありません。コロナだけの機能です。
暖房器具 | ポータブル石油ファンヒーター |
---|---|
メーカー | コロナ |
機種 | FH-VX3615BY |
年式 | 2015年製 |
灯油タンク | 7.2 ℓ |
低燃費モード | 火力セレクト |
ストーブは1日12時間運転、火力モードはエコな弱モード。
さらに、
ユニクロのウルトラダウンジャケットと、室内用の防寒ソフトブーツを掃いています。( じゃないと流石に寒い。逆にこの2つで快適に過ごせます。 )
灯油タンク7.2ℓが空になり、給油するたびにデータを記録しました。
下記の灯油代については、実際は単価の安い10月にまとめて数百ℓを購入しているので多少の誤差はあります。ご了承ください。
回数 | 給油日 | 平均気温 | 給油量 | 灯油累積 | 配達単価 | 灯油代 | 累計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 10月10日 | 11℃ | 7.2 ℓ | 7.2 ℓ | 79 円 | 568円 | 568 円 |
2 | 11月05日 | 4℃ | 7.2 | 14.4 | 84 円 | 604円 | 1,172 |
3 | 11月25日 | 4℃ | 7.2 | 21.6 | 84 円 | 604円 | 1,776 |
4 | 12月06日 | 0℃ | 7.2 | 28.8 | 90 円 | 648円 | 2,424 |
5 | 12月15日 | 0℃ | 7.2 | 36 | 90 円 | 648円 | 3,072 |
6 | 12月22日 | 0℃ | 7.2 | 43.2 | 90 円 | 648円 | 3,720 |
7 | 01月01日 | -3℃ | 7.2 | 50.4 | 91 円 | 655円 | 4,375 |
8 | 01月11日 | -3℃ | 7.2 | 57.6 | 91 円 | 655円 | 5,030 |
9 | 01月20日 | -3℃ | 7.2 | 64.8 | 91 円 | 655円 | 5,685 |
10 | 01月26日 | -3℃ | 7.2 | 72 | 91 円 | 655円 | 6,340 |
11 | 02月01日 | -3℃ | 7.2 | 79.2 | 94 円 | 676円 | 7,016 |
12 | 02月07日 | -3℃ | 7.2 | 86.4 | 94 円 | 676円 | 7,692 |
13 | 02月14日 | -3℃ | 7.2 | 93.6 | 94 円 | 676円 | 8,368 |
14 | 02月20日 | -3℃ | 7.2 | 100.8 | 94 円 | 676円 | 9,044 |
15 | 03月26日 | 0℃ | 7.2 | 108 | 95 円 | 684円 | 9,728 |
16 | 03月06日 | 0℃ | 7.2 | 115.2 | 95 円 | 684円 | 10,412 |
17 | 03月12日 | 0℃ | 7.2 | 122.4 | 95 円 | 684円 | 11,096 |
18 | 03月18日 | 0℃ | 7.2 | 129.6 | 95 円 | 684円 | 11,780 |
19 | 03月25日 | 0℃ | 7.2 | 136.8 | 95 円 | 684円 | 12,464 |
20 | 04月03日 | 6℃ | 7.2 ℓ | 144 ℓ | 95 円 | 684円 | 13,148 円 |
と、いうワケで、
ライトな防寒着を着たり履いたりしておりますが、
石油ファンヒーターの1シーズンの灯油代と消費量は、
13,148円
灯油:144ℓ
でした。
特に、一軒家の6 ~ 8畳の部屋で過ごしている人や、
アパート・マンションのワンルームに住んでいる人には、参考になりやすいデータかと思います。
ちなみにポリタンクは1つ18ℓなので、
玄関に2個置くとしたら、4回は給油しに行かねばならない計算に。
石油ストーブの、1シーズンの灯油料金のまとめ
買いました!火力セレクトは最高! ← 記事です。