目次でございます。
源泉徴収について
お金を貰ったら、所得税が発生します。
普通は貰った人が、所得税を納めに行きます。
しかし、
「 所得税をあらかじめ引いた額 」を貰うほうが、貰う側にとっては楽です。
だって、貰って終わりなんですもの。
このあらかじめ引くことを、「 所得税の源泉徴収 」と呼びます。
で、
会社に勤めているサラリーマンは、
会社から給料をもらいますが、
振り込まれる額は、
税金が引かれた給料の額となります。
サラリーマンに代わって会社が「源泉徴収」してます。
会社は「源泉徴収義務者」だから「源泉徴収」しなければなりません。
そして、源泉徴収した額をもって、サラリーマンが払うべき税金を、サラリーマンに代わって国などに納めます。
では、私たち個人事業主・フリーランスはどうでしょう?
相手の企業から仕事を請け負い、達成すると報酬が振り込まれますが、
普通に請求書を作って、請求したところで
相手の企業が、
・税金の天引きと、
・天引きした分を税金として納めること
を、やってくれるはずがありません。
普通は源泉徴収してくれません。
ただし、
「特定の仕事」の報酬の場合にのみ、
相手の企業を「源泉徴収義務者」に変身させることが可能。
相手企業は
・私たちフリーランスが納めるべき所得税額を報酬から源泉徴収し、
・残りの額を私たちフリーランスの口座に振り込み、
・私たちフリーランスの代わりに、源泉徴収した額をもって、税金を代わりに払ってくれます
「特定の仕事」はデザイン業・原稿業・ナレーション業・講演業など。
会社・企業は、「源泉徴収の義務者」です。
よって、私たちがデザイン業を企業から請け負った場合、
その企業は「源泉徴収の義務者」となり、
私たちへの報酬振込の際は、前もって「源泉徴収」しなければなりません。
ただ、私たちも
「フリーランスだから全部、企業側がやってくれるんだ。らくちんだね」
ということにはなりません。
ではなにをやるのか?
請求書に、「源泉徴収やってくれ!」と指示を書かなければダメなんです。
その指示の言葉が、
「 源泉徴収税額(10.21%)▲ ○○○○○ 円 」
です。請求書の小計欄・消費税欄の次辺りに仕込むのが普通です。
で、
請求書で、節税ができます。
ご請求額:440,000円
100,000円
300,000円
-----------
合計 440,000円(税込)
↑ こんな書き方の人はそうそういないとは思いますが、これだと損をします。
試しに「指示の言葉」を添えると以下の通りに。
ご請求額:395,076円
100,000円
300,000円
-----------
合計 440,000円(税込)
源泉徴収税額(10.21%)▲ 44,924 円
で、
ちゃんと消費税を入れるとこうなります。
ご請求額:399,160円
100,000円
300,000円
-----------
小計 400,000円
消費税 40,000円
合計 440,000円
源泉徴収税額(10.21%)▲ 40,840 円
ご請求額が、4,084円増えました!
源泉徴収税額は、
料金と消費税を明確に分けている場合、
料金だけが課税対象となり、料金のみに10.21%を掛けます。よって消費税が入らない分、税金の金額も小さいというワケです。
料金と消費税を明確に分けていない場合、
合計金額に10.21%を掛けるので、税金の金額が大きくなります。当然ですね(笑)
よって、
企業に請求書を送る際は、
・料金は料金
・消費税は消費税
と明確に分けてください。
そして、指示の言葉である、
「 源泉徴収税額(10.21%)▲ ○○○○○ 円 」を付け加えましょう。
まとめると、
私たちフリーランスが、特定の仕事を企業から請け負った場合、
・企業は「源泉徴収の義務者」となる。
・私たちは請求書に「源泉徴収税額」を入れる
・企業は「源泉徴収の義務者」なので私たちの報酬から「源泉徴収」する
・企業は私たちの代わりに、所得税を納める
・企業は、次年度の1月に私たちの代わりに税金を納めたぞと、証拠の「支払調書」を発行して送付する。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
では、企業から請け負ったのではなく、
私のようなフリーランスから、私が特定の仕事を請け負った場合どうなるのか?
このフリーランスは「源泉徴収の義務者」となるのか?
発注フリーランスが、ひとり親方でやっている場合は「源泉徴収の義務者」とはなりません。
よって、私が発行する請求書には、「 源泉徴収税額(10.21%)▲ ○○○○○ 円 」を追加しません。
発注フリーランスが、週休2日くらいのペースで従業員を雇っている場合は「源泉徴収の義務者」にさせることが可能。
よって私が発行する請求書には、「 源泉徴収税額(10.21%)▲ ○○○○○ 円 」を追加してOK。
で、年度明けの1月に、発注フリーランスは私に「支払調書」を発行、送付しなければならない。
※ ↑ 「源泉徴収の義務者」は、請求書に掛かれた源泉徴収税額を、しっかり源泉徴収して、納める義務がありますが、
「支払調書」に関しては、「源泉徴収の義務者」だとしても「支払調書を発行する義務」はありません。
慣例から善意で発行してくれている意味合いが今日では強い。
よって、遅いからと言って催促するのは、ちょっと違うらしい。
それに、「支払調書」という紙は、確定申告には不要なんです。
厳密に言えば、こちらが発行した請求書の「 源泉徴収税額(10.21%)▲ ○○○○○ 円 」を
こちらがキチンと把握して控えておけば良いだけのハナシです。
よって、来年度からは、「支払調書は待たない」
「請求書の 源泉徴収税額(10.21%)▲ ○○○○○ 円」を控えておく
を、実行しましょう。
■■■■■■■■■■■■■■■■
では、逆に、
私が特定の仕事で、フリーランスに外注を出した場合はどうなるか?
私は一人親方でやっており、常駐社員を雇っていない。そのため「源泉徴収の義務者」とはならない。
そのため、相手から届いた請求書にもし「 源泉徴収税額(10.21%)▲ ○○○○○ 円 」と指示があった場合、
「私は源泉徴収の義務者ではありませんので、源泉徴収することができません。よって、源泉徴収税額の欄が無い状態で訂正した請求書を送ってください」と言う。
それでも、「支払調書」くれーと言われたら・・・。
合計支払額を記入して、源泉徴収税額を0円と記入した紙を発行してあげましょう。(っていうかそんなくれくれ言う人いるのかしら??)
会社企業が発注、個人事業主が請負の、支払調書のまとめ
「 国税庁が指定する仕事内容 」の外注で、
という流れの場合なら、
ということです。お約束です。
個人事業主→個人事業主の支払調書はどうなる?
「 国税庁が指定する仕事内容 」の外注で、
という流れではどうでしょう?
と、いろいろ考えますが
これだけでは答えは出せません。
大事なことが抜けています。
源泉徴収・義務者(げんせんちょうしゅう・ぎむしゃ)ってなんだ?
そもそも、
源泉徴収税額を納めるのは、
「 源泉徴収 義務者 」だけです。
( げんせんちょうしゅう ぎむしゃ )
以下が該当します。
- 会社企業
- 官公庁
- 個人事業主(フリーランス)
よって、会社企業が
「 国税庁が指定する仕事内容 」を外注に出すなら、
相手問わず100%「 源泉徴収 義務者 」になります。
あれ?
よく見ると「 個人事業主 」も「 源泉徴収 義務者 」ですね・・・。
- 会社企業
- 官公庁
- 個人事業主(フリーランス)
しかし!!
以下に該当する場合は、
「源泉徴収 義務者」ではありません。
では、
先ほどの「 流れ 」をもう一度見てみましょう。
「 国税庁が指定する仕事内容 」の外注で、
これだけだと、
発注個人フリーランスが、
- 源泉徴収 義務者なのか?
- 源泉徴収 義務者ではないのか?
が不明なんです。
そのため、請負個人フリーランスは、
- 源泉徴収税額の入った請求書で請求すればいいのか?
- 源泉徴収税額を無視した請求書で請求すればいいのか?
が分からないんです。
よって、以下の通り
2パターンが存在します。
マジ一人、個人事業主→個人事業主の、支払調書のまとめ
(マジ一人の個人)
であるなら
となります。
請負個人フリーランスに対して、発注個人フリーランスは支払調書の発行はしなくてよい。
人を雇っている、個人事業主→個人事業主の、支払調書のまとめ
(週休2日等で
連続して
1人雇っている個人)
逆に、人を雇っているタイプの個人フリーランスの場合は、
と、なります。
ただし、
請負個人フリーランスに、発注個人フリーランス側が
なんて分かるはずがありません。
よって発注個人フリーランス側から、
と、発注の際に一言添えるのがマナーです。
番外編:支払調書と、請求書の源泉徴収税額
支払調書は、「 源泉徴収税額 」を示す書類です。
「 発注した企業 」は、
「 外注を請け負った企業 」または「 外注を請け負ったフリーランス個人」に対して、
報酬を支払います。
ただし、「 外注内容 」によっては「 国税庁が指定する仕事内容 」に該当する場合があります。
該当する仕事内容に対する、報酬( 料金と消費税を明確に分けている場合は、料金のみ。分けていない場合は 料金+消費税 )が、100万円以下であれば
10.21%の税金( 源泉徴収税額 )を納めなければなりません。
で、源泉徴収税額を収めるタイミングですが、
請負側から送られてきた源泉徴収税額が含まれた請求書に対し、
「発注した企業」が報酬を支払った場合、
「発注した企業」が支払ったその翌月10日までに源泉徴収税額を納めるのが普通です。
請負側の、請求書の書き方
「 国税庁が指定する仕事内容 」に該当しない場合は、
以下の通り「 普通の請求書 」でOKです。当然ですね(笑)
請け負ったフリーランス個人は、普通の請求書を作って請求しましょう。
( 請求書は、料金と消費税を明確に分けている場合は、源泉徴収税額は小さくなります。以下の請求書は消費税をちゃんと個別表示しているバージョンです。よって10.21%を掛けるのは料金のみです。逆に料金と消費税を明確に分けていない場合は合計金額に10.21%を掛けることになるので税金が高くなる=手取が低くなります。 )
○○料 60,000円
○○料 20,000円
----------------
小計 80,000円
消費税10% 8,000円
----------------
請求 88,000円
が、
仮に、○○料 60,000円 が
「国税庁が指定する仕事内容」に該当する場合で、
発注元が、会社企業である場合、または人を雇っている個人の場合、
請け負ったフリーランス個人は、
以下の様な「 源泉徴収税額 」が含まれた請求書を作って請求しなくてはいけません。マナーです。
指定仕事料 60,000円
○○料 20,000円
----------------
小計 80,000円
消費税10% 8,000円
源泉徴収税額10.21% ▲6,126円
----------------
請求 81,874円
ただし、
「 国税庁が指定する仕事内容 」に該当する場合でも、
指定仕事料=50,000円以下の場合で、
かつ、
デザイン・講演料・原稿考案の場合だと、
「 源泉徴収税額 」を無視しても良いことになっております。
WEBデザイン料 49,000円
○○料 80,000円
--------------------
小計 129,000円
消費税10% 12,900円
--------------------
請求 141,900円
そのため、
請求書を作る側( 請け負った側 )が
注意することが必要です。